【容姿・特徴】

人間の姿では黒い艶やかな髪に菫色の綺麗な瞳を持つラミアの少女。本来の姿では、下半身は蛇身となり、不思議な色合いの髪の毛となるが、顔立ちはほぼ同じ。

【性格】

性格は行動的で、決断力が優れていると云うよりも少し気が短いところがある。
ラミア族である事に加えて人族の都市で育った為にバルバロス的な価値観が薄く面倒見が良く優しい。一方で、戦う事自体は嫌いではないため最前線に立つ事が多い。
武術を教えてくれた師匠（老騎士）の影響か武人の様な面も見られるが、同時にアステリアへの信仰を持っている為に割と恋愛に関しては奔放な面も見られる。
……が、その教えを説いた人物の妙な影響を受けている様子もあり少々心配な面もある。

【関係者】

サーシャ・フィアールカ（ラミア女性）：アンジュの母親。ハルシカ協商国でひっそりと娼婦をしていたが流行り病で亡くなる。アルフレッドは元々はサーシャの後見人だった。
アルフレッド・マーキス（人間男性）：義理の父親。サーシャの正体を知った上で後見人となり、サーシャの没後はアンジュを引き取って義理の娘としてくれた。
ウラジーミル（人間男性）：引退した騎士。子供の頃に友人たちと共に良く武術を教えてもらった。眼光が鋭い。騎獣は熊だったとか、素手でドラゴンを絞め殺したとか怪しい噂がある。
名も知らぬエルフの女性：時折、母親の客として訪れていた美しいエルフの女性。幼いアンジュに妖精神アステリアの教えを説いた。眼光が怪しく息遣いが危ない人物だった。時折撫でまわされた。

【仲間になった経緯】

　他のバルバロスとは接点を持たずにいた母親と共にハルシカ協商国でひっそり暮らしていた。
元気の良い娘だったアンジュは幼いころから人族の子供達と一緒に遊んで育ち、物事の道理をしっかりと理解する前に母親が流行り病で亡くなってしまったため人族と蛮族の区別があまり付かないまま成長してしまう。
　近所の老騎士に共に鍛えられた友人たちは成年を迎えたあとに冒険者となり、その時にはアンジュも冒険者として身を立てようとも考えたが、それでは義理の娘として引き取って今まで育ててくれたアルフレッドに恩を返せないと思い、冒険者の道は諦めてマーキス商店を手伝う事を決意する。
　幾年か経ったある日、冒険者となった友人たちと久しぶりに会い旧交を温めていた時、懐かしさと楽しさのあまりいつもアルフレッドに厳しく言われていた門限をうっかりと破ってしまう。
その結果、ラミアの特殊能力である「変化」時間が過ぎてしまい、その場でラミアであることが衆目に晒されてしまったのである。
実は、冒険者となって経験を積んでいた友人たちは、子供の頃の記憶からアンジュが人間以外の別の種族なのではないかと薄々感じて居た為、それほど強いショックは受けなかったが、周囲の一般市民の目に触れてしまい大騒ぎとなってしまった。
友人たちの機転でその場は逃れることが出来たが、ラミアであることが露見している状態で街にいる事はできないと思い、また同時に恩のある愛すべき父親であるアルフレッドに迷惑をかける事だけは避けたかったアンジュは、早晩“冒険者”としてハールーン魔術研究王国へと向かうことを決意する。

　ハールーン魔術研究王国へと向かうその道中、セブレイ大樹海沿いの街道であろう事かフッド族の集団に襲われて大樹海の中へと命からがら逃げ込むこととなる。
フッド族の襲撃は執拗で、アンジュは森へと逃げ込まざるを得なかった。アンジュ以外にも時折襲われて息絶えたと思しき商人の遺体が見られるなか、幾度も襲撃を受け続け森の中で道を見失う事となってしまう。

　数日、隠れ彷徨い、幾度となくフッド族に追われて休む事もできぬまま傷を負い魔力も尽きて諦めかけた時に大きな泉の傍で瞑想をする尋常ならざるドレイクと出会う。
その時、再び襲撃してきたフッド族の集団を目にしたドレイクはアンジュに言葉をかける。

「必要ならば我の手を取るが良い。主が心の奥底に秘めた想いを叶える手助けが出来よう」

　アンジュはその時にはその言葉の本当の意味を理解していなかった。
ただ、その尋常ならざるドレイクの手を借りて……と言うより、押し寄せる恐ろしい数のフッド族をまるでそよ風の中を歩むがごとく何事もない様に瞬時に斬り捨てたドレイクの手によって窮地を脱する事ができたのだった。
こうして、そのドレイク“ダークメイヤー卿”と出会ったアンジュは、その力に相応しいとは思えないほどの小さな領地へと導かれ、バルバロスと人族が共存する星芒領の仲間として加わる事となった。